REPORT

愛する日本のジュエリービジネスへ

jewelrist創刊25周年記念

日本のジュエリービジネスの未これから来 & 注目するKEY PERSON

AI、フィンテック、VRIOT、シェアエコノミー等、画期的なイノベーションの登場により、世の中の産業・ビジネス構造は大きく変わろうとしている。しかし、我々のジュエリービジネスは、こうした流れから完全に取り残されている。ゲームやスマホ向けサービスの業界では、毎日のようにリリースされている、「20 30歳代の若い起業家が画期的なIT技術を開発して、これまでにないまったく新しい事業(サービス)を立ち上げた」などというニュースを日本のジュエリー業界ではほとんど聞いたことがない。

対面での販売、印刷カタログを見ながらファックスでの商品注文といった、旧態依然の取引き形態から全く進化していないのが現状である。

地方の小売店の店主は月に1~2度、御徒町に来街してはこれまでの取引き業者を回り、顧客からオーダーを受けた商品や部品を仕入れる。小売店の店主にすれば御徒町のどこにどのような特徴を持つ業者があるのか、情報を入手する術もなく仕入先は固定的になりがちで、これでは顧客に対してベストな商品提供、サポートができているとは言えない。

低迷・停滞を続ける日本のジュエリービジネスにあって、それぞれの事業者が目先の利益に汲々としているのが現状であり、中長期的な時間軸とグローバルな視点で、世界のジュエリービジネスとの連動を図ろうというような動きはほとんど見られていない。新鮮な発想を持つ若い経営者が現れないこと、イノベーションが起きていないことは、ジュエリービジネスの低迷・縮小の大きな要因になっていると考える。

誰かが一石を投じ自社の利益だけではなく、業界全体の利益を考えた取り組みが必要な時を迎えていると言える。どんなに強くなっても1社だけで、すべてのコンテンツ・情報を提供するのは不可能である。ジュエリー業界に散逸している知恵やノウハウを、ワンストップでだれもが簡単に利用できるように整理することで、自社と直接かかわりのない「繋がり」からも、継続的に利益を上げることが可能になると考えるのである。

その中で筆者が注目する日本のジュエリービジネスの未来(これから)の KEY PERSON を紹介する。

それは、創刊25周年記念号である当誌の表紙を飾る、Roni Xu(ロニジョー)女史である。オックスフォード大学大学院修士課程を卒業、2014年株式会社楽天に入社、企画部にて予算管理・国内&越境 EC 業務を担当、2016年株式会社 ORIGAMI 入社、資金調達・事業開発を担当、2019年株式会社セルビーのデジタル担当役員に就任、同時に国際版 宝飾品 B to B オンラインプラットフォーム事業開発のため、株式会社 ペリドを設立し代表取締役 CEO に就任した。その才媛の彼女が主宰する国際版宝飾品専門 B to B モールに大きく注目している。

簡単にペリドのコンセプトを紹介すると、日本国内をはじめ世界のジュエリービジネスに従事するすべての事業者が、簡単、安全、スピーディに、モールに提供されているすべての情報、商品、ノウハウを、利用、売買、交換できるジュエリー業界唯一の「国際版 オンラインプラットフォーム」を提供する事業である。

出店する事業者はモールの持つ、①マッチング機能、②コスト削減機能、③集客機能、④ネットワーク効果等のメリットを享受できる。簡単な例を上げると、商品サプライヤーはこれまでリーチすることのできなかった顧客に商品を販売できるようになり、バイヤーはモールに登録するまで存在さえ知らなかったサプライヤーから価格や品質を比較した上で、商品を仕入れすることができるようになる。PC やスマートフォンやタブレットからダイレクトに商品を売買できるので、営業費用や紙のカタログ作成費用は不要となり、コストを大幅に削減できる。出店対象事業者・業態・商品は、宝飾品業者、ジュエリーリサイクル業者、新品、リサイクル品、製品、ルース、パーツ、メーカー、卸、インポーター、エクスポーター、小売店、加工業者、デザイナー、買取り業者、出版社、新聞社、鑑定機関など、世界のありとあらゆるジュエリービジネス関連業者が一つのオンラインプラットフォーム上でビジネス展開できるようになる。

日本国内のジュエリー消費の低迷、海外ジュエリーフェア依存過多、催事ビジネスの行きづまり感、中国に続くニューマーケットの不在など、未来(これから)の日本のジュエリービジネスを取り巻くビジネス環境は厳しい。その中で、新たな隆盛を目指すには過去(これまで)、現在(いま)を大きく凌駕する、英知と挑戦が必要となる。

筆者は Roni Xu(ロニジョー)女史が主宰する国際版 宝飾品専門 B to B モールに、令和の日本のジュエリービジネスを拓く KEY PERSONとして大きな注目と期待をする。

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